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社会課題の解決

小松俊平: 亀田総合病院は、房総半島南部の安房地域にあります。多くの地方と同様、安房では人口の減少が続いており、自治体は衰退、消滅の危機にあります。亀田総合病院も、将来、安房で存続できなくなる恐れがあります。地域の状況が厳しくなっていく中で、人々の関心は短期の小さな成果に向かいがちです。人々の...
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看護学生寮併設高齢者向け住宅: フローレンスガーデンハイツ

大瀬律子: 年齢を重ねると今まで1人で解決できたことが段々とできなくなり、将来どうなるのか、不安が押し寄せてくることもあると思います。気ままな1人暮らしはよいのですが、孤独は決してよくありません。フローレンスガーデンはそこを解決したいと思って計画しました。入居した方が、必要な医療や介護を受けな...
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財産管理の規格化の必要性

香田道丸: 独居が困難と判断して、転院や施設入所を考えたとします。その場合、必要な費用を本人の口座から支払わなければなりません。ところが、身寄りのない高齢者が入院して精神機能が低下してくると、金銭管理どころか意思決定も困難になります。たとえ預金があっても、本人はキャッシュカードの暗証番号が分か...
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有償ワンストップ相談

香田道丸: 措置による福祉サービスには、どうしても上からの施しという気配が付きまといます。今考えているワンストップ相談は、契約による有償サービスです。受任者は善良なる管理者の注意義務をもって事に当たらなければなりません。双方が義務を負う対等な契約です。利用者の権利が尊重されやすい形です。利用者...
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生活支援

児玉照光: 現在の介護保険制度では、要介護の方には食事、排泄、入浴の介助などの身体介護を中心にサービスが提供され、要支援の方には家事援助などの生活支援を中心にサービスが提供されます。ただし、生活支援は非常に個別性が高く、利用者の希望内容も実に様々です。多数の人が集まって共通のリスクを分散する保...
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無料低額診療の実際

香田道丸: 双極性気分障害、いわゆる躁うつ病で、難治性気管支喘息による障害基礎年金2級を受けている50歳の女性を想像してください。元夫の暴力が原因で7年前に離婚し、実家に戻って19歳の息子と83歳の父親との3人暮らしです。父親は3年前に脳梗塞で左不全片麻痺となり要介護2です。つかまり歩きをしな...
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無料低額診療規定

小松俊平: 社会福祉法人太陽会が千葉県館山市で開設している安房地域医療センターでは、2012年11月以降、無料低額診療を実施しています。無料低額診療は社会福祉法に基づく制度であり、生計困難者が必要な医療を受ける機会を制限されないよう、社会福祉事業として医療を公定価格より安く提供するものです。医...
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社会経済的要因による健康格差

近藤克則: 経済学、社会学など様々な角度から我が国の格差や貧困層の拡大が指摘されてきました。しかし、その中で抜け落ちていたのが、社会経済的階層間における「健康格差」です。要介護者の増加は、世界一の超高齢社会日本だけの問題ではありません。将来の世界共通の社会的・政治的大問題です。解決方法を考える...
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地域での集団による見守りの試み: ららカフェの取り組みから

渡邉姿保子: 私たちは地域の方々と一緒に「ららカフェ」というコミュニティカフェを作りました。杉並区には配食サービスや登録ボランティアによる見守りの制度があります。民間でも、見守り機能のある機器やサービスが作られ、個人的に活用する人が増えています。一方で、地域の近所付き合いは減り、町会や敬老会の...
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孤独死は減らせるのか

小野沢滋: 先日、85歳の女性の患者さんがしきりに「先生うかぶのだけは困るから」「あたしは、うかびたくないから」と言うのです。「うかぶ」とはどういう意味なのか、しばし悩みました。歳も歳ですから、死んだ後に浮かばれないのは嫌だ、というのならまだ分かりますが、浮かびたくない、のですから、よく分かり...
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認知症に対する多職種チームによる訪問支援

澤滋: 朝田らの報告では、日本の65歳以上の高齢者人口の15%、2010年時点で440万人が認知症だと推定されました。認知症患者の尊厳を保ちつつ生活を支える上で、病気の状態からそうでない状態に戻すことをめざす医学モデルには限界があります。近年、社会福祉の分野で重要視されている生活モデルによるア...
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認知症グループホームが抱える課題

柴田範子: グループホームは、比較的元気な認知症の方が少人数で共同生活を営む施設です。利用者は5人から9人。特養などに比べると小規模ですが、雰囲気はアットホームで、スタッフは食事の支度や掃除、洗濯などを利用者と一緒に行います。家庭的で落ち着いた雰囲気の中で生活することでなじみの関係ができ、生活...
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認知症高齢者の住む「意味の世界」

大井玄: 「意味の世界」という言葉は、恐らく初めて耳にされるでしょう。最初にその意味を説明いたしましょう。私たちは、世界は見るもの、聞くもの、触るものからできていると思っています。しかしそれは、脳科学の見出したところによると、私たちの思い込みであって、私たち、いやすべての脳は、世界をその経験と...
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介護職の給与の背景となる経済学的環境: 増額は可能か

西村周三: 日本では高齢者が急増しつつあります。介護人材の確保が大きな課題になっています。団塊世代の子どもの数が絶対数として多かったため、これまで若年労働力の減少は避けられてきました。この世代がほぼ40歳に達し、今後は若年労働力が急速に減少していきます。それでなくても不足している介護人材が、2...
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辞めていく介護職

熊田梨恵: 日本ではこれから高齢化が一層進んで要介護者が増えますが、介護現場では慢性的に人が足りません。公益財団法人介護労働安定センターが2013年度に行った「介護労働実態調査」では、従業員の不足感がある事業所が56.5%という結果でした。人手不足の最も大きな理由は、賃金が低いことです。全国労...
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メタボ検診よりも虐待検診を

小野沢滋: 人は年をとるものです。年とともに体力は衰え、やがて知力も衰えていきます。これは誰にでも訪れる現実です。ある程度早死すれば、そういった経験をしないで済むかもしれませんが、特に女性の場合、全人口の半数以上が要介護状態を経験した後に亡くなっていきます。医療の役割は健康を守ることです。WH...
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家族介護の負担とその後

小野沢滋: 前稿では、人が亡くなるまでの期間と機能低下のパターン、その割合について考えました。本稿では、看取りまでの期間の経済的負担について考えたいと思います。この問題は、個人の問題に留まりません。下手に扱うと社会の活力を根こそぎ奪ってしまう可能性すらあります。私たちが訪問診療を行っていたある...
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看取りまでの期間は3種類

小野沢滋: 人は最期の数年をどのように過ごすのでしょうか。よく、「ぽっくり逝きたい」などと聞きますが、果たしてぽっくり逝ける人はどの程度いるのでしょうか。もし、あなたの親が何らかの病気になって、回復困難となった場合に闘病期間はどれぐらいかかるのでしょう。看取りまでの期間の予想がつけば、あなたも...
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医療・介護の提供量が少なくなると、老い方、死に方はどのように変わるのか

高橋泰: 後期高齢者の激増とそれ支える若年人口の激減により、今後1人ひとりの高齢者に提供される医療・介護サービスの提供量は減らさざるを得ないでしょう。それでは医療・介護の提供量が少なくなると何が起きるのでしょうか。筆者は、1999年から2003年にかけて、愛媛県の大三島という瀬戸内海に浮かぶ島...
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医者の出す薬は効くのか: 多剤投与の害悪

小野沢滋: ある時、外来に来たお年寄りが「私食べるほど薬を飲んでいるんです」と、おっしゃいます。彼女は、16種類の薬を2つのクリニックからもらっていました。降圧剤2種類、胃蠕動改善薬、下剤2種類、筋緊張緩和剤、鎮痛剤、消化性潰瘍治療薬、高脂血症治療薬、健胃消化剤、ビタミンB12、ビタミンB1、...
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在宅医療の役割分担: 医師はどの程度役に立つのか

小野沢滋: 現在、在宅での療養生活には、非常に多くの支え手が必要とされています。ホームヘルパー、ケアマネジャー、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、入浴サービス事業者、宅配食事サービスなど、在宅医療に関わる職種を数え上げれば切りがありません。今回はこれらの中から、医師、ホームヘルパー、ケアマネジ...
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在宅医療の歴史: 看取りの変化

平原佐斗司: 従来、医療の主たる形態は、患者が医師宅に通院する宅診(外来)と医師が患家に出向く往診の2つでした。今では医療の代名詞と言える入院医療は、先進各国では20世紀になってから、我が国においては20世紀後半、とりわけ第2次大戦後に飛躍的に発展した新しい形態です。終戦直後の日本人の主な死因...
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あなたは人生の最期をどう生きたいですか: もしもを考え、話し合い、理解し合うためのアドバンス・ケア・プランニング

蔵本浩一: 日本国憲法第13条には、個人の尊重、幸福追求に関して以下のように書かれています。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」どんなに歳をとっても、病気やケガで後...
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胃ろうはなぜ社会問題になったか

熊田梨恵: (ここ2年ほど、胃ろうがマスコミで騒がれるようになりました...)マスコミが騒いでいるのは、認知症や病気の影響でコミュニケーションを取れなくなった状態で、その病気がもう治ることはなく、終末期に近い状態の人に着けられる胃ろうです。そういう状態の人に胃ろうが着けられた場合、延命の手段に...
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急性期病院からの退院: あなたの望みがかなうとは限らない

小野沢滋: 急性期病院からの退院について、患者の希望がどの程度かなえられるのか、現状をご説明します。大きな病気になって入院するというのは、多くの人があまり考えたくないことでしょうが、ほとんどの人が人生の最期が近づくと必ず遭遇する事態です。果たして、病院はあなたを元通りにしてくれるのでしょうか。...
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地域包括ケアと情報ネットワーク

亀田信介: 情報通信技術の進歩により、医療・介護の現場においても電子カルテ導入をはじめとした情報化が進められてきました。歴史的には1999年に診療録の電子保存が法律上認められ、情報の共有化やデータの2次利用による医療の効率化と質の向上が期待されましたが、実際は思ったような成果を得られませんでした...
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地域包括ケアの戦略: 合理性に基づく標準化

小松俊平: 現在の日本では、急性期から在宅にわたる医療・介護の諸分野で、様々なサービスが提供されています。関係する事業主体、事業所、職種も様々です。この多様さゆえに相互の連携は難しく、高齢者が最期まで安心して過ごせるシームレスな体制を地域で構築できているとは言えない状況です...
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財政難の中での寄付の役割: 共感と資金を集める

鵜尾雅隆: 地域の問題を解決するには、一定量のお金が必要です。しかし財政難の中、行政の提供する資金だけに依存すると、どうしても社会課題の革新的な解決策が生まれにくいのです。これは世界共通の課題です。リスクのある新しいチャレンジだと、企業の投資や行政の支援が出にくい現実があります...
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首都圏の医療・介護の近未来

高橋泰: 日本では、後期高齢者の一時的な急増と、若年人口の長期にわたる大幅な減少という世界史上未曾有の大変化が進行しつつあります。2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になります。日本で後期高齢者の増え方が最も激しいのは、神奈川県、埼玉県、千葉県などの東京のベッドタウンで、2010年...
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地域持続の雇用戦略: 3つの転換で交差点型社会を

宮本太郎: 日本創成会議が2014年3月に発表したレポートは、2040年には日本の自治体のうち半数近い896の自治体が消滅可能性を強めると予測して衝撃を呼びました。消滅可能性が高いと判断される基準は、その自治体における20歳から39歳までの女性の減少率が2010年からの30年間で5割を超えることです...
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官民役割分担の原則

小松俊平: これから首都圏では、団塊世代の高齢化により、医療・介護需要が爆発的に増加し、必要な医療・介護を受けられない人が増えていきます。地方では、人口の減少により、多くの市町村が衰退していきます。衰退に向かう市町村からは住民が流出し、弱者が取り残されます...
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人口の変化と社会保障

小松秀樹: 今後の日本を考える上で、最も重要な統計が、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口です。出生3条件、死亡3条件、すなわち3×3、9種類の条件で、100年後の2110年までの推計値が公表されています。日本の最大の問題は、出生数が少ないことです。このため、人口が減少します...
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地域包括ケアの歴史的必然性

猪飼周平: 2010年に『病院の世紀の理論』(有斐閣)を出版しました。「病院の世紀」という言葉は私が作ったもので、ほぼ20世紀に対応しています。そして病院の世紀の医療というのは、少し前、例えば1980年代くらいまで遡れば、大部分の医療者、患者双方にとって当たり前だった医療のことを指しています...
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地域包括ケアの具体像を模索

小松秀樹: 2013年8月に発表された社会保障制度改革国民会議報告書には、「地域での包括的なケアシステムを構築して、医療から介護までの提供体制間のネットワークを構築することにより、利用者・患者のQOLの向上を目指す」と地域包括ケアの概念が簡単に説明されています...
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